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謝肉祭

シューマンのピアノ曲『謝肉祭』を聴く。
21曲の多彩な表情を持つ小さな楽曲が織り上げる非日常的な世界。
楽曲の表情・性格が余りにも異なるので、演奏するピアニストは曲全体をまとめるのに苦労すると聞く。

21曲にはそれぞれタイトルが付いている。
「ピエロ」「アルルカン」「パンタロンとコロンビーヌ」のように喜劇の登場人物の名だったり、
「オイゼピウス」「フロレスタン」のようにシューマンの心の中の性格的な要素を仮託した架空の人物名だったり、
「キアリーナ」「エストレッラ」のように実在の女性の名をもじったものだったり、
「ショパン」「間奏曲 パガニーニ」のように実在の作曲家の名を冠したものだったり。

様々なタイトルを付けているが、これらは全て、シューマンの内面に存在するイメージで、シューマンの心の内部の多彩さに他ならない。
演奏するピアニストが苦労する多彩さは、作曲家が心の中に封じ込めていたとしたら、作曲家自身が苦しむことだろう。
シューマンは自分の心の中の多面的な要素を音楽的なフラグメントとして外在化させ、それにひとつひとつラベル(タイトル)を付けて、並べ直し、整理・統合したのだ。
この音楽の作曲は、シューマンにとって自己治癒的な作業だったのだろう。

沢山の仮面(タイトル)が集うカーニバル。
仮面の陰では、より真実が吐露される。
音楽全体の中心に位置する11曲目の「キアリーナ」が素晴らしい。
いかにもシューマンらしい、美しい憧れの曲。
キアリーナとはクララのイタリア語読みで、後に彼の妻となるクララ・ヴィークのこと。
しかし、当時、彼は「エストレッラ」で表されるエルネスティーネという別の女性と付き合っており、クララへの想いは未だ秘めたものだったようだ。

カーニバルは、それまで溜まっていたエネルギーを発散させる祭りだ。
世界中のどの民族にもカーニバル的な祭りがある。
日本でも祭りは昔、恐ろしい程の活気に満ちたものだった。
しかし、祭りが荒れる程、普段の日常生活は落ち着いて過ごし易く、人間関係も円滑だった。
それは、地域社会でも学校でも会社でも共通していて、溜まったガスを抜くための祝祭的な場が機能していた。

一方、今日では事故の発生を恐れてか、祭りが非常に管理され、整然としたものとなっている。
学校の運動会でも身体をぶつけ合うような競技が無くなっているし、会社では祭りそのものが無くなっているところもある。
カーニバル的な場が無いと、鬱屈したエネルギーを吐き出すことが出来ず、本音を出すことも難しくなる。
学校や会社など、社会に蔓延しているイジメ、パワハラ、学級崩壊等を引き起こしている精神的土壌はカーニバルの喪失によるところが大きいのではないか、と思う。
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テーマ : 「生きている」ということ
ジャンル : 心と身体

プロフィール

迷林亭主

Author:迷林亭主
迷林亭主ことカウンセリングルーム・メイウッド室長 服部治夫。
三鷹市の住宅地に佇む隠れ家的なヒーリグ・スペース。
古民家を改装したくつろぎの空間で、アートセラピーや催眠療法などを活用し、カウンセリングやヒーリング、創造性開発の援助に取り組んでいます。

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