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精神の自由な発露 ―― 『北京故宮博物院200選』

「博物館に初もうで」というキャッチフレーズは正にその通りだった。
『清明上河図』を観るために並ぶ120分待ちの列への対応の仕方は、神社の参拝客を捌く手順を彷彿させる。
しかし、『清明上河図』は待っても参拝するに足る名品であった。
それ故に、「神品」と冠するのだろう。

皇帝のために描かれた庶民の暮らしを活写した絵、と言えば、西洋ではピーター・ブリューゲルが想起される。
どちらも遊び心が満ちていて楽しい。
ブリューゲルの絵には風刺や隠された意味が含まれているものもあるが、『清明上河図』は時代が旧いせいか、描かれた内容が裏表なくストレートに伝わって来て、楽しく、生きる喜びに満ちている。
観ている私達にも生きている肯定感を与えてくれる絵だ。
初もうでにふさわしい一品である。

11~14世紀頃に書かれた書や絵は、活き活きとしていて、精神の自由さを感じさせる。
書はより内面的な心の動きを表し、絵画は外の世界をどのように捉えているか、という認識を表しているようで、同じ本質のものを別な表現方法で表した表裏一体のもの、という印象を受ける。
書は字体が型にはまらず自由で表情豊かで、書いた人の感情をそのまま伝えて来る。
絵のように客観性に縛られない分、奔放な表現が可能だったのではないだろうか。
一方、絵の方はいち早く、職人的な技術の練達が進む。
水墨画は白の表現が素晴らしい。
全く塗らずに最背面に押しとどめていた部分が、完成した絵では最前面に飛び出て来て、輝くようにその存在感を訴えて来る。
究極の陰が一瞬にして究極の陽に転ずる。
まるで、平面に彫られた彫刻のようだ。

南宋時代の『長江万里図巻』では、人生を感じさせる道の表現が味わい深い。
そして、ひとつひとつの人生(道)は波間によって区切られる。
波の陰では存在はどのようになっているのだろう、などと思わず考えてしまう。

カフェで、斜めに射す夕陽を見ながら、今年も一歩一歩進んでいることを感じた。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

迷林亭主

Author:迷林亭主
迷林亭主ことカウンセリングルーム・メイウッド室長 服部治夫。
三鷹市の住宅地に佇む隠れ家的なヒーリグ・スペース。
古民家を改装したくつろぎの空間で、アートセラピーや催眠療法などを活用し、カウンセリングやヒーリング、創造性開発の援助に取り組んでいます。

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