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精神のメタボリズム

太宰治は不思議な作家だ。
複数回に亘る自殺未遂と心中未遂を繰り返し、バルビツール中毒で入院した太宰が、何故、昭和13年の天下茶屋逗留を境に、自己肯定的な中期の傑作群を産み出すことが出来たのか。
太宰自身にもはっきりとした理由は分からなかったようで、「東京八景」の中に次にような文章を残している。

「下宿の一室に、死ぬる気魄も失って寝ころんでいる間に、私のからだが不思議にめきめき頑健になって来た」

「人の転機の説明は、どうも何だか空々しい、その説明が、ぎりぎりに正確を期したものであっても、それでも必ずどこかに嘘の間隙が匂っているものだ、人は、いつも、こう考えたり、そう思ったりして行路を選んでいるものでは無いからでもあろう。多くの場合、人はいつのまにか、ちがう野原を歩いている。」

普通の人と太宰治との大きな相違点は、太宰は「書く」と言う表現行為を持っていたことだ。
真摯に書くことによって自分の中に溜まった毒を排出し、自らを浄化することが出来たのではないだろうか。

「メタボリック・シンドローム」「生活習慣病」と言う言葉が人口に膾炙して久しい。
これは要するに、カロリーのインプットとアウトプットのバランスが崩れて、身体の中に過剰な栄養が溜まり、不具合を引き起こす現象である。

このインプットとアウトプットのバランスが崩れることによって生じる不調は、メンタルの問題にも当てはまる。
精神のメタボリズム
精神的なメタボリズム(新陳代謝)で出し入れするものは情報だ。
人は五感を使って外界の情報を取り込む = Impression。
その情報を脳を駆使して処理する = Process。
そしてその結果を口や手や全身を使って表現する = Expression。

インプットとアウトプットのバランスが取れている時、人は心地よさを感じる。
インプット<アウトプットの時、人は疲弊する。
インプット>アウトプットの時、人はメンタル不調を引き起こす。

メンタル不調への対処法は色々あるが、基本的には情報のインプットを減らし、アウトプットを増やす働きを促すものとの見方が出来る。
睡眠や休息を十分に取ることは情報のインプットの減少に直接的な効果がある。

情報には2つの種類がある。
それは、サウンドとノイズだ。
サウンド(sound)は「健康な」と言う意味の形容詞でもある。
サウンドを取り込む分には大抵大丈夫だが、世の中には残念ながらノイズが非常に多い。
ノイズを排し、サウンドを上手く取り込めるようにするのが情報リテラシーなのだが、全ての領域で情報リテラシーを磨くことは至難の技で、人はいつの間にか、ノイズを取りこんでしまう。
そこで、ノイズを主として過剰に摂取した情報を排出するための作業が必要になる。

一番オーソドックスで日常的な表現方法は話すことだ。
自分が見聞きし、体験したことを誰かに話すことで、人は情報を整理し、秩序を与えることが出来る。
しかし、その誰かがいない時、自分の中が一杯になり、苦しくなる。
それがカウンセリングを求める動機となることもある。

太宰治は誰かに話す代わりに自分で書いた。
そして自らの力で危機を脱した。
太宰治は稀にみるセルフカウンセリングの達人だと思う。
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テーマ : 人生を豊かに生きる
ジャンル : 心と身体

プロフィール

迷林亭主

Author:迷林亭主
迷林亭主ことカウンセリングルーム・メイウッド室長 服部治夫。
三鷹市の住宅地に佇む隠れ家的なヒーリグ・スペース。
古民家を改装したくつろぎの空間で、アートセラピーや催眠療法などを活用し、カウンセリングやヒーリング、創造性開発の援助に取り組んでいます。

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