スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アサーションのトライアングル

私はこれまで企業研修や地域のセミナー等で、コミュニケーション研修の一環として、アサーションのワークショップを行って来た。
コミュニケーション能力というのは社会的な要請であるが、果たしてそれぞれの個人がコミュニケーション能力を身に付けたいという自発的な欲求を持っているのか、それとも身に付けなければいけないという義務感を感じているのか、は様々だろう。

これまでの研修の中では、アサーションの定義を『相手を尊重しつつ、自分の感情や要求を誠実に率直に対等に伝えることの出来る態度やものの考え方』として紹介して来た。
しかし、この定義は、コミュニケーション能力を身に付けることを前提とすれば意味が有るが、個人の心の問題に対してどのような意味を持つのか、については余り心に響かないかも知れない。
そこで今回は、個人の心に対するアサーションの効用について考察してみたい。

カウンセリングルームを訪れるクライエントの多くが異口同音に訴えるのが、「自分に自信が無い」「他人の評価が気になる」「何となく不安を感じる」というものである。
自分の中身を何か空疎に感じている。
日本社会は同調圧力が強く、他者と波風を立てないように、他者に嫌われないようにふるまっているうちに、一体自分が何をしたいのかが分からなくなってしまう。
或いは、自分が何をしたいか分からなくても、周りに従って今まで何となく進めて来たが、その先どのように生きて行けば良いのかが分からない。

自分が一体何者で、本当は何をしたいのかを安全・安心な環境の中でじっくりと確かめること。
これがカウンセリングルームの中で行われる大切なことのひとつだが、自分がやりたいことが見えて来た後でそれを実行することが次の課題となる。
ここでアサーションの出番となる。

本当は自分のやりたいことを自由にやりたいのだが、そうすることには抵抗がある。
怖れがある。
自分が言ったこと、したことの結果がどうなるか、の責任を負わなければならないし、場合によっては新たな敵を作るリスクも有る。
自由には責任が伴う。
しかし、逆に考えれば、責任を取る覚悟が出来れば、自由も生まれる。
自由と責任を両立するようにコントロールすること。
これがアサーションの本質的な定義だと私は考える。

コントロールという言葉は、支配とか、制御とか、統制とか訳されるが、その意味するところは、自分の思い通りに動かすこと。
自分がコントロール出来ている感覚が得られる時、人は自由を感じる。
逆に、他者にコントロールされていると感じられる時、人は不自由(束縛)を感じる。
それでは、アサーションというのは、何をどのようにコントロールすることなのだろうか。

アサーションでは、
A)私は自分をコントロールする。
B)私は他者にコントロールされない。
C)私は他者をコントロールしない。
という3つの基本姿勢が重要となる。
A)とB)は自分の自由を確保し、自分を尊重すること。
B)が徹底出来れば、他者の評価に左右されなくなる。
一方、C)は他者の自由を保証し、他者を尊重すること。
互いに相手をコントロールしないことによって、初めて対等な関係が成り立つ。

他者をコントロールしない、ということは、他者に何かを要求する時、その返事について過度な期待を持たないこと。
相手がこちらの意に沿わない返事をする自由を与える。
執着を捨て相手を自由にすることで自分も自由になる。

自由と責任を結ぶ線を底辺として、コントロールを頂点とする三角形を描けば、コントロールが上手に出来るほど、自由と責任が大きくなり、三角形の面積が増える。
この面積に当たる部分に育って来るのが自信なのだ。
中心に自信が満ちて来れば、空疎な感覚が消え、不安も無くなる。
これがアサーションのトライアングルであり、アサーションの原理である。
アサーションのトライアングル
自由は子どもの心(C)が溌剌と動いていることの証。
責任は親の心(P)が機能しているからきちんと取れる。
そして、コントロールは大人の心(A)によって司られる。
アサーションのトライアングルが拡大していくに連れて、心が成長し、より大人になっていく。

このように見て来ると、アサーションが個人の心の解放に大変有効な考え方であることが分かる。
カウンセリングルームでは、個々のクライエントの事例に即してコントロール力を強化するための手法を教えたり、責任能力を高めるための課題設定をしたり、様々なエクササイズを適用する。
集合研修でよく紹介されるDESC法もコントロール力を高めるための有効な手法のひとつである。

アサーションは個人の心を解放するためのロゴス的なアプローチである。
同調圧力が強い日本社会では、真綿で絞め付けられたように、いつの間にかコントロール力を奪われてしまい勝ちだ。
コントロール力を取り戻すためには、真綿を切り裂くハサミが要る。
アサーションは自由への道を切り拓くロゴスのハサミである。
スポンサーサイト

テーマ : メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

プロフィール

迷林亭主

Author:迷林亭主
迷林亭主ことカウンセリングルーム・メイウッド室長 服部治夫。
三鷹市の住宅地に佇む隠れ家的なヒーリグ・スペース。
古民家を改装したくつろぎの空間で、アートセラピーや催眠療法などを活用し、カウンセリングやヒーリング、創造性開発の援助に取り組んでいます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。